人権の尊重
基本的な考え⽅
当社は、⼈権の尊重に関する国際的な基準や各国、地域の法令、規定等を遵守した公正な経営を⽬指しています。 また、「⼈権の尊重」は全世界の社員⼀⼈ひとりが持つ多様な能⼒、個性、価値観を活かすサステナビリティ活動の⼟台であり、当社の企業理念である「アルプスアルパインは人と地球に喜ばれる新たな価値を創造します。」につながるものと考え、グループ行動規範にもその骨子を反映しています。
アルプスアルパイングループ⾏動規範(抜粋)
5-1. 強制労働・児童労働の禁⽌ |
アルプスアルパイングループは、雇⽤形態に関わらず、全ての従業員をその⾃由意思において雇⽤します。また、強制的な労働および児童労働を認めません。18歳未満の者が働く場合は、健康や安全が危険にさらされる可能性がある業務(夜勤や残業を含む)に従事させません。 ※児童は15歳、義務教育を修了する年齢、または国の雇⽤最低年齢のうち、いずれか最も⾼い年齢に満たない者を指す。 |
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5-2. ⾮⼈道的な扱いの禁⽌ |
私たちは、虐待や嫌がらせ(ハラスメント)をはじめとする、⾮⼈道的な扱いを⾏いません。 |
5-3. 差別の禁⽌ |
私たちは、⼈種、肌の⾊、年齢、性別、性的指向、性同⼀性と性表現、出⾝国、社会的出⾃、障がいの有無、妊娠、宗教、その他の状況に基づく差別を⾏いません。 |
5-21. 労使コミュニケーション |
アルプスアルパイングループは、法令や労働契約を遵守し、従業員の権利を尊重します。また、十分なコミュニケーションを通じて労使間の信頼関係の維持・発展に努めます。 |
5-22. 結社の⾃由及び団体交渉の権利の尊重 |
アルプスアルパイングループは、事業を⾏うそれぞれの国・地域の労働関係法令に従い、結社の⾃由や団体交渉など、従業員の権利を尊重します。 |
5-23. 適切な賃⾦と労働時間 |
アルプスアルパイングループは、法定基準以上で、社会的、⽂化的な⽣活水準が維持できる賃⾦を社員に支払います。法令で定められた労働時間の限度を遵守します。 |
5-24. 先住⺠族を含む地域住⺠の⼟地、森林、⽔に対する権利の尊重 |
アルプスアルパイングループは、先住⺠族を含む事業活動を⾏う地域住⺠の⼟地や森林、⽔に対する権利を尊重し、不法な⽴ち退きの強制や⼟地、森林、⽔の不法な奪取を⾏いません。 |
5-25. ⼈権侵害を意図する保安隊・警備隊の使⽤の禁⽌ |
アルプスアルパイングループは、事業運営において、拷問、残虐な⾏為、⾮⼈道的または尊厳を傷つける⾏為等、⼈権侵害を意図した⺠間または公的な保安隊・警備隊の使⽤をしません。 |
【国際的に宣⾔された「⼈権保護」の尊重と⽀援】
「⼈権の尊重」が⼈類共通の不可⽋な価値観であるとの認識の下、国際的に宣⾔された以下の基準を尊重しその趣旨に沿った活動を⽀援しています。
- 世界人権宣言(国連)
- 労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言(ILO)
- ビジネスと人権に関する指導原則(国連)
- OECD 責任ある企業⾏動に関する多国籍企業⾏動指針
- その他国際的に認められた人権宣言等
当社におけるビジネスに固有の顕著な人権問題の特定
当社が属する電子機器産業で重視される問題を考慮し、以下の項目を当社ビジネスに固有のリスクある人権問題として特定しています。
- 雇用の自由選択
- 若年労働者
- 労働時間
- 賃金及び福利厚生
- 人道的待遇
- 差別/ハラスメント
- 結社の自由
⼈権の尊重を確保するための体制
2023年度まではサステナビリティ推進委員会の下、⼈権・D&Iワーキンググループを設置し、⼈事部を中心に⼈権問題に対する活動推進と報告を行ってきました。2024年度からは執行役員を構成メンバーとするサステナビリティ委員会においてその活動計画と結果が報告されます。
⼈権教育
⼈権の尊重に関する⽅針を明⽂化した「グループ行動規範」を制定し、内容の浸透、定着を図るため、毎年定期的に全世界の社員を対象として実施している「コンプライアンス・CSR研修」にその内容を加えるなど、企業慣行に組み込んだ継続的な運営を行っています。2023年度は、約31,000名を対象に実施し、98.0%の受講率でした。
また、新⼊社員・新任管理者・役員等各階層別に実施される研修の中においても、それぞれの立場に応じた⼈権に関わるテーマを適宜取り上げ、職場での実践を想定した理解の浸透を図っています。
コンプライアンス・CSR研修(グループ行動規範教育)受講率
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
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93.6% | 97.0% | 98.0% |
人権への影響の評価と緩和
グループ内における人権デューデリジェンス
原則として2年に1回「労働者及び労使関係を含む⼈権」に特化したデューデリジェンスを実施しており、2023年度はグローバル33拠点を対象に実施しました。ビジネスにおける⼈権意識の高まりを反映し、前回実績(2021年度)と比較しAランクの拠点が大幅に増加しました。
労働⼈権に特化した継続的なデューデリジェンスプロセス(2年に1回)の展開によるスパイラルアップ
【サプライチェーンにおける⼈権課題への取り組み】
⼈権の尊重は、⾃社内ばかりではなくサプライチェーンにおいても重要課題と認識し取り組みを進めています。「アルプスアルパイン責任ある企業⾏動ガイドライン」の中で、⼈権に関わるガイドラインを定めており、お取引先様にその遵守を求めるとともに、CSRアセスメントを実施し、その遵守状況を確認しています
救済措置(苦情処理メカニズム)に関する取り組み
相談窓⼝(ホットライン)の整備
国内グループ社員を対象とした内部通報制度として、経営陣からの独立性を確保した倫理ホットラインを設置しています。通報者の秘匿性と不利益取扱いの禁止を倫理ホットライン規定に明記し、厳格に運営されています。海外拠点に対しても相談窓口の設置状況を調査し、対象の全拠点に設置されていることを確認しました。
⼈権に関する通報及びインシデントの実態把握
定期的に実施する⼈権デューデリジェンスに加え、日常の現実場面で発⽣している⼈権に関する実際の通報内容やインシデントの実態を把握する⽬的で、関係部門間の事例共有会を定期的に実施しています。把握した内容は、防止措置としての社員教育や職場風⼟改善施策へ反映されています。2023年度の国内事例では、社内規定に基づき懲戒処分とされた「日常的に部下の身体的特徴を話題にしたハラスメント事案」を取り上げ、内容の共有を図ると共に再発防止につなげています。
サプライチェーンを対象とした相談窓口の設置
2023年4月より「国連ビジネスと⼈権に関する指導原則」に準拠した非司法的な苦情処理プラットフォームである⼀般社団法⼈ビジネスと⼈権対話救済機構(JaCER)に加盟しています。JaCERをはじめとする支援組織との連携を通し、幅広いステークホルダーからの苦情等に対してより的確な対応を図っています。