人権の尊重

基本的な考え⽅

当社は、⼈権の尊重に関する国際的な基準や各国、地域の法令、規定等を遵守した公正な経営を⽬指しています。 また、「⼈権の尊重」は全世界の社員⼀⼈ひとりが持つ多様な能⼒、個性、価値観を活かすサステナビリティ活動の⼟台であり、当社の企業理念である「アルプスアルパインは人と地球に喜ばれる新たな価値を創造します。」につながるものと考えています。

人権方針

当社では、2025年に『アルプスアルパイングループ人権方針』を新たに策定しました。
これまで人権尊重の内容を含む「アルプスアルパイングループ行動規範」を、行動や判断の基準としてきましたが、人権尊重の取り組みを一層強化・推進することを目的に人権に特化した方針を策定しました。

本方針は、役員と非正規を含むすべての従業員に適用されます。また、当社の事業活動に関わるすべてのサプライヤーおよびビジネスパートナーにも理解と支持を求め、人権尊重とその侵害防止の実践を期待します。

アルプスアルパイングループ人権方針

アルプスアルパイン株式会社およびそのグループ会社(以下、アルプスアルパイン)は、企業理念および5つの経営姿勢に基づき「アルプスアルパイングループ行動規範」を定め、役員および社員に理念および経営姿勢の実践を求めています。
人権の尊重はこれらの根幹をなす価値観であり、すべての事業活動において不可欠なものとしてアルプスアルパインはすべてのステークホルダーの人権に対する責任を果たしていきます。

人権方針全文

<本文記載項目>
  1. 適用範囲
  2. 国際規範の尊重
  3. 重点課題
  4. ガバナンス体制
  5. 人権デューデリジェンス
  6. 救済措置
  7. 教育と啓発
  8. ステークホルダーとの対話
  9. 情報開示
  10. 方針の見直し

ガバナンス体制

人権方針に基づき、人事担当執行役員の責任のもと、人事部門、資材部門、サステナビリティ推進部門等が連携して取り組みを行っています。取り組みの進捗に関しては、四半期ごとにサステナビリティ委員会で、報告・議論し、取締役会へ報告・審議しています。

人権デューデリジェンス

国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく人権デューデリジェンスの仕組みを構築して継続的に運用することで、人権への負の影響を特定・評価、およびその防止と軽減に努めます。

人権尊重の取り組みの全体像

①人権リスクマップの策定

人権への負の影響を特定するため、当社の事業環境を踏まえたリスクの抽出と評価を実施し、人権リスクマップを策定しました。

<策定プロセス>

Step 1 「世界人権宣言」や関連する国際基準を参照し、当社の事業領域に関連する人権リスク項目を抽出
矢印
Step 2 当社の事業活動から生じる直接的なリスクと、サプライチェーンにおいて生じるリスクを、「深刻度(規模・範囲・救済困難度)」および「発生可能性」に基づいて評価・マッピング
矢印
Step 3 優先順位付けを行い、4つの重要課題を特定

各ステップの実施においては、コンプライアンス部門や従業員代表組織などの社内関係者や有識者との対話を通じ、抽出項目や評価の妥当性を検証しました。今後も、環境変化に応じた定期的な見直しを行い、人権リスクマップの継続的な更新を行います。

<人権リスクマップ>

人権リスク評価に基づき特定した「労働安全衛生」「ハラスメント」「長時間労働」「プライバシーの尊重、個人情報の保護」を重点課題として取り組みます。

②防止・軽減措置

働く人々に対して、適切な労働条件・環境を提供することに努めています。グループ内ばかりではなくサプライチェーンにおいても重要課題と認識し取り組みを進めています。「アルプスアルパイン責任ある企業⾏動ガイドライン」の中で、⼈権に関わるガイドラインを定め、お取引先様にその遵守を求めるとともに、CSRアセスメントを実施し、その遵守状況を確認しています。

③モニタリング実施状況

2年に1回、グループ会社を対象に「労働者および労使関係を含む人権」に特化したモニタリング調査を実施しています。2024年度は、前年度にBランクとなった拠点を対象に、不適合項目に対する改善状況の確認やその他現状の課題の把握を行いました。結果、今回確認対象となったグローバル12拠点中4拠点がA評価へ改善しました。

④情報開示

すべてのステークホルダーを対象に、当社のWebサイト、統合報告書、有価証券報告書で人権に関する取り組みを報告しています。

人権教育

当社では、人権尊重の内容を含む「グループ行動規範」の浸透・定着を図るため、全世界の社員を対象とした「グループ行動規範研修」を毎年定期的に実施しています。
2024年度は、約29,000名を対象に実施し、受講率は98.1%でした。
また、新入社員・新任管理者・役員など、各階層別に実施される研修においても、それぞれの立場に応じた人権関連のテーマを取り上げ、職場での実践を想定した理解の促進に努めています。

コンプライアンス・CSR研修(グループ行動規範研修)受講率

2022年度 2023年度 2024年度
97.0% 98.0% 98.1%

救済措置(苦情処理メカニズム)

人権課題に対し、社員とステークホルダーが安心して声を上げられる環境を整備しています。また、人権に関する相談やインシデントに対しては、速やかな事実確認を行い、対応策を講じています。

相談窓⼝(ホットライン)の整備

当社では、社員が安心して相談・通報できる環境を整備しています。国内グループ社員を対象に、経営陣から独立した「倫理ホットライン」を設置し、通報者の匿名性と不利益取扱いの禁止を規定に明記のうえ厳格に運営しています。海外拠点においても同様の窓口を設置済みで、全拠点において利用可能な体制を確保しています。

人権に関する通報・インシデントの把握と対応

関係部門による定期的な事例共有会にて実際の通報やインシデントの内容を取り上げ、再発防止策の構築に繋げています。過去に発生した事例を踏まえ、社員教育の作成や職場風土改善取り組みを行っています。

サプライチェーンを対象とした相談窓口の設置

サプライチェーン上の人権課題にも対応するため、2023年4月より「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した非司法的苦情処理機関である一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に加盟しています。これにより、幅広いステークホルダーからの苦情を受け付け、公正かつ的確に対応できる仕組みを整備しています。