気候変動への取り組み
基本的な考え方
バリューチェーン全体での温室効果ガス排出ゼロに向けた道筋
当社は、気候変動への対応を重要な経営課題の一つと位置づけ、2050年度に「バリューチェーン全体での温室効果ガス(GHG)排出ゼロ」の実現を目指しています。この目標に向け、2026年4月に開催したサステナビリティ委員会において、スコープ1+2およびスコープ3のGHG排出削減に関する中長期目標とロードマップを承認しました。本ロードマップは、環境プロジェクトを通じて具体的な施策に落とし込み、全社およびバリューチェーン全体での取り組みとして推進していくものです。
スコープ1+2削減ロードマップ
カーボンニュートラル工場推進モデル
設備構成や操業条件は工場ごとに異なるため、スコープ1+2の排出削減を工場単位で推進しています。そのため、全工場に共通する指針として「カーボンニュートラル工場推進モデル」を定義しました。本モデルでは、データ整備から排出ゼロ達成までのプロセスを5段階の推進レベルとして体系化し、各工場が実情に応じた取り組みを段階的に進められる仕組みとしています。
| 推進レベル | 達成指標 |
|---|---|
| 1 | データ可視化・原単位整備完了 |
| 2 | 主要設備のエネルギー診断完了 |
| 3 | 省エネ対策実行 |
| 4 | 再エネ調達方針策定・実行 |
| 5 | スコープ1,2排出ゼロ達成 |
まずは、エネルギー使用状況の見える化により省エネポテンシャルを特定し、投資効率の高い省エネ施策および再生可能エネルギーの導入を優先的に推進します。電化および除去については、技術動向と経済性を踏まえながら、適切な時間軸で段階的に展開していきます。
上記の優先順位に基づき、グローバル生産拠点を対象に、2030年度までにレベル3・4、2040年度までにレベル5の達成を目指し、エネルギー消費量の多い拠点から優先的※に展開していきます。
※2026年度:中国、2027年度:日本、2028年度以降:メキシコ・欧州・その他アジアへ展開
再生可能エネルギーの導入
2050年度カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギーの導入を推進しています。当社グループの温室効果ガス排出量(Scope1+2)の約8割は電力使用に起因するため、再生可能エネルギー化を最重要施策の一つと位置付けています。この考えのもと、2023年にRE100へ参画し、2030年度までに事業活動で使用する電力の100%再生可能エネルギー化をコミットしました。現在、国内外の生産拠点を中心に太陽光発電設備の導入を進め、累計23,382MWhの発電能力を実現しています。今後はオンサイト太陽光発電の拡大に加え、再生可能エネルギー電力の購入やPPAなども活用し、再生可能エネルギーの利用を拡大していきます。
エネルギー消費量の削減
2025年度は、全社でエネルギー消費量の削減施策を検討し、合計で6.6%の削減効果を見込む施策を立案しました。これまでは空調設備や照明設備の更新など施設関連の施策が中心でしたが、近年は製造工程における省エネルギー活動を強化しています。その結果、2025年度に立案された施策のうち、約4割が製造関連の施策となり、生産設備の運転条件の最適化や設備稼働の効率化など、生産現場における改善活動が拡大してきました。これにより、施設・設備の両面からエネルギー消費量削減を推進しています。
<2025年度に実施した主な施策>
- ボイラー廃熱回収装置の設置
- 空圧機ドライヤー冷却方式を風冷式から水冷式へ変更
- 低炭素燃料への転換 (重油→HVO)
スコープ3削減に向けた重点領域へのアプローチ
当社のスコープ3排出量の約7割は、購入した製品・サービスに由来するカテゴリー1が占めており、現在は購入金額ベースの2次データを用いて算定しています。今後2年間は、スコープ3削減の基盤整備期間と位置づけ、資材部門と連携し、主要調達品目を対象に1次データへの置換えを進め、算定精度の向上に取り組みます。合わせて、技術部門と協力し、より精度の高い排出原単位データベースを用いた製品レベルでの算定を行い、排出量の大きいホットスポットを特定します。2028年度以降は、この分析結果を活用した低炭素製品設計を推進し、2040年度までに基準年度比50%の削減を目指します。2040年度以降は、CCS・CCUSの社会実装拡大等により、サプライチェーン上流での大幅な排出削減が進展することを見込んでいます。
| ステップ1(2026年度) | 算定精度高度化 |
|---|---|
| ステップ2(~2027年度) | ホットスポット特定 |
| ステップ3(2028年度~) | 設計・サプライチェーン変革 |
お取引先様とのエンゲージメント
当社の温室効果ガス(GHG)排出量の多くは、原材料や部品の調達を含むサプライチェーンで発生しています。そのため、脱炭素社会の実現には、自社だけでなくお取引先様と一体となった取り組みが不可欠であると考えています。
2023年度より、お取引先様に対してGHG排出量の1次データ提供の依頼を本格的に開始しました。一方で、GHG排出量の算定体制が整備されていないお取引先様に対しては、算定の第一歩として簡易的な排出量算定シートを提供し、自社の排出量を把握する取組みを支援してきました。
こうした活動の結果、2025年度の調査では、回答企業の約9割がGHG排出量を算定しており、サプライチェーン全体で排出量を把握する基盤づくりが着実に進んでいます。また、排出量削減目標を設定する企業の割合も年々向上しており、お取引先様における脱炭素への取り組みが広がっています。今後は、排出量データの精度向上を目的として1次データへの置換えを更に進めるとともに、当社のScope3カテゴリ―1の排出量の占める割合が大きいお取引先様との協働を強化していきます。
物流GHG排出量の削減
当社は、製品を世界中のお客様にお届けしており、物流に伴う温室効果ガス(GHG)排出量の削減を重要な課題と位置付けています。2022年度から物流パートナー各社の協力のもと、輸送に伴うGHG排出量の可視化を進めるとともに、削減活動を開始しました。当社の物流GHG排出量は、海外向け製品輸送に伴う国際輸送が大きな割合を占めています。特に航空輸送は輸送効率に優れる一方で、輸送手段の中でもGHG排出量が比較的大きいことから、重点的な削減対象として取り組みを進めています。
2022年度以降は、納期や品質への影響を考慮しながら、航空輸送から船舶輸送へのモーダルシフトを推進してきました。また、国内物流においても、トラック・コンテナの積載効率向上やトラック輸送の一部を鉄道輸送へ切り替える取り組みを開始し、環境負荷の低減を図っています。
これらの活動により、2025年度の物流GHG排出量は2022年度比で35%削減となり、計画通り推移しています。
改善事例積載効率アップによるトラックコンテナ輸送回数削減
梱包仕様の見直しによりコンテナ当たりの積載効率を向上させ、輸送回数を40パレット/週から22パレット/週へ削減しました。
今後も引き続き、輸送手段の見直し、積載率向上や輸送回数の削減、物流ネットワークの最適化などを通じて物流活動量そのものの削減に取り組み、サプライチェーン全体でのGHG排出量削減を推進していきます。
環境関連イニシアティブなどへの対応状況
RE100イニシアチブ |
2030年までに、事業で使用する電力の100%再生可能エネルギーへの転換を推進するため加盟 |
JCLP |
1.5℃⽬標を達成するための情報収集を⽬的に加盟 |
SBTイニシアチブ |
当社として1.5℃目標を達成するために認定を取得 |
CDP |
気候変動で「Aリスト」企業に選定 |
指標と目標
中期経営計画2027における指標・目標に対する実績は以下の通りです。
| 範囲 | 2023年度 実績 |
2024年度 実績 |
2025年度 実績 |
中期経営計画2027における 2027年度目標 |
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|---|---|---|---|---|---|---|
| スコープ1、2削減率 (2021年度比) |
連結 | ▲47% | ▲61% | ▲65% | ▲70% | |
| スコープ3削減率 (2021年度比) |
連結 | +59% | +68% | +33% | 2030年度目標 ▲25% |
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| 再生可能エネルギー導入率 | 連結 | 63% | 72% | 77% | 85% |