人財の確保と育成
基本的な考え⽅
持続的な事業成長に向け、人財の新たな活躍機会の創出や、各種ネットワークの更なる拡大などを 通じ、これまでとは異なる価値の創出ができる人財の確保と育成に取り組みます。
特に、コト事業の推進においては、新規事業を構想する思考スキルや高い専門性を有する人財を確保し、人的ニーズの充足を図るとともに、自発的・自律的に変化・成長し続ける人財の育成を進めていきます。
人財の確保
採用活動の骨子
「人に賭ける」は、アルプスアルパインが創業時から大切にしてきた人財育成の姿勢を表す言葉です。未来を信じ、自ら考え学び、行動していく想いを第一に、新たなフィールドへの挑戦を応援します。採用においては、幅広い方との出会いに期待し、次のカテゴリーにて活動をしています。
新卒採用(総合職/一般職)
高校、高専、大学、大学院卒業見込みの方向けに、新卒採用を実施しています。グローバル社員としての総合職と、地域を限定して勤務する一般職の採用を行っています。
キャリア採用
社会人としてビジネス経験がある方を対象に、キャリア採用を実施しています。
当社が注力すべき新事業には、社外からの知見も必要であることから、新領域で経験を積まれた方を積極的に採用しています。
外国人採用(IAP)
外国人の採用促進の一つとして、外国籍の新卒者が日本オフィスで契約社員として2年間勤務するIAP制度を導入しています。この制度は30年以上の歴史があり、これまでに世界各国から合計100名近くを採用しました。IAP期間が終了後も多数が当社グループで引き続き勤務しており、2023年度は3名採用しました。
障がい者採用
障がい者の方を対象とした採用活動も実施しています。雇⽤プロジェクトチームを結成して雇⽤機会の拡⼤や、就労体験の受⼊れ、外部⽀援機関との連携など採⽤を強化しています。
事業成長に向けた人財の確保
人財確保に向けた重点取り組み
採用計画充足率100%を掲げ、多角的な採用の取り組みを実施しています。
グローバルでの人財確保
ソフトウェア開発に従事する人財の採用機会拡大を目指し、インド現地大学が開催する新卒採用イベントに参加しました。そのイベントを通じ実際に採用に至った事例もあります。2024年も同イベントに参加し、継続的なソフトウェア人財の確保に繋げます。

インドでの採用イベント参加の様子
女性エンジニアの採用
中長期的な人財の確保と多様な人財の確保の観点により、女性エンジニアの新卒採用を強化しています。
その一環として理系女子学生向けのキャリアワークショップを開催しました。ワークショップでは、ワークライフバランス実現のための社内の取り組み紹介や、女性エンジニアとの座談会などを行いました。
重点職種である生産技術職の確保
安定したものづくりを支えているのが生産設備などの開発に携わる生産技術者ですが、就職活動生からは生産技術者の業務内容がイメージしづらいという声が上がっています。
生産技術職の充足率を上げるため、エンジニア志望の学生に対し、職場見学を含めた職種説明会の充実を図り、仕事内容の理解促進に取り組んでいます。
採用計画充足率(新卒総合職) | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|
97% | 85% | 93% |
人財公募制度の拡充
当社では、社員の意欲と能力を最大限に引き出すことを重視しています。そのために社内公募制度を導入し、挑戦できる職場環境作りや、部門の垣根を越えた適材適所の人材配置を促進しています。
特に、女性エンジニアの採用を促進するための学生向けイベント企画など、新しいプロジェクトの立ち上げに際し、この制度を活用しています。
2023年度には社内公募を通じて、15名の社員がプロジェクトへの参加や新たな職場への異動を実現しました。
2024年度には、再雇用者や管理職経験者を対象とした公募も新たに開始しました。多様なバックグラウンドを持つ人材が自らの可能性に挑戦し、さらに成長できる機会を拡大していきます。
人財の定着、育成
新⼊社員の成⻑を後押しすることを狙いに、経過年数に応じた研修や支援策を実施しています。
新⼈〜若⼿社員の定着・育成
新入社員研修
⼊社して必要となる「学⽣から社会⼈への切り替え」「会社の基礎教育」「各職種・事業内容」について、座学やグループワークを通し、理解する研修です。
ソフトウェア⼈財の育成強化を狙いとし、e-ラーニングによるソフトウエア教育を取り⼊れ、研修期間後半には、学びをアウトプットする場もあります。
パルスサーベイ
新入社員の職場への定着を支援するため、入社後1年にわたり、月1回の簡易意識調査(パルスサーベイ)を実施しています。仕事への満足度や心の健康度を定期的に把握し、個人の課題に合わせた迅速なフォローを行うことで、メンタルヘルスの不調や早期離職の発生を予防しています。
製造実習
「ものづくり」の会社として実際の製造現場で、1か⽉間の製造実習を行います。現場作業の中でムダがないか、効率よく生産するにはどうすればいいか新入社員が⾃ら考え、その経験やノウハウを自身の仕事に還元する狙いがあります。
3年⽬研修
新⼈期が終了に差し掛かる3年⽬の社員向け研修です。3年目として何が期待されているのかを理解し、また職場メンバーからの事前アンケートを基に⾃分の弱みや強みは何かを振り返ることで、今後どうしていくべきかをキャリア含め考える研修です。
研修の中では⾃分の考えだけではなく、受講者同⼠で話し合いを進めながら職場に戻ってから意識して⾏動する「⾏動計画書」を作成し、期待される役割⾏動改善への⼀歩となるようにしています。
研修による人財育成の取り組み
当社では、社員のキャリアビジョンの実現を支援するため、様々な研修を提供しています。
従業員各々がスキルを高め、知識を深められるように、ビジネススキルやマネジメントスキルなど、個々のキャリアステージに合わせた階層別の必須研修に加え、自ら関心のあるものを選び手挙げで受講できる選択型研修、技術者向けのエンジニアの基礎力向上を狙いとした技術者研修など、学びを通じて成長し続ける組織文化の醸成に努めています。
教育体系図 (アルプスアルパイン(株))
マネジメント層の育成
対話型マネジメントの実践と浸透
多様で⾃律した個⼈の強みを活かし、組織成果の最⼤化と会社の持続的成⻑を実現するためには経営層、管理職、社員間での「対話」「相互理解」が⽋かせません。新たに管理職の職責についたマネジメント層の社員に対して、役割の理解やマネジメント⼒の強化に向けて新任部⻑研修、新任課⻑研修を⾏なっています。加えて新任課⻑研修では、創業者⽚岡勝太郎の⾃宅を記念館とした勝志館への⾒学を通じて創業者の思いや当社のイズムを改めて理解する場を設けています。
加えて、2023年度からは組織の中核を担い、職場のリード役となる係長にも対象を広げ、求められる役割や期待を理解するための研修を実施しています。マネジメント層が社員一人ひとりと向き合うことで社員の挑戦を後押しすることを目指しています。

新事業創出人財の拡充
新たな提供価値の創出に向けて、事業構想の立案から具現化までを牽引する人財の育成に取り組んでいます。2023年度は新たに「事業構想力研修」を導入し、社内公募で20名が参加しました。この研修で8件の新規事業が提案され、うち4件が事業化実現可能性の調査段階にあります。
産学連携では、東京工業大学とのエンジニアリングデザインプロジェクト、宮城大学との新規事業構想の検討、会津大学との感性デザイン思考ワークショップを実施しました。計30名以上の社員が参加し、事業構想マインドと実践的スキルの向上を図っています。

事業構想力研修の討議風景
キャリアに関する視野拡大・意識向上に向けた取り組み
他社との交流を通じて多様な働き方や価値観に触れることで、社員が自身の視野を広げ、キャリア形成を考えるきっかけを得ることを目的に、日東電工株式会社とのキャリア交流プログラムを開催しました。

日東電工株式会社とのキャリア交流の様子
各本部における人財育成の取り組み
<技術本部>
エンジニアのスキルレベルに応じ、導入から基礎、応用、専門に至るまでの多様な講座を開講しています。2023年度は、208講座を延べ3040名が受講しました。またソフトウェア領域における高度専門人財の育成に向けて、東京工業大学との連携によるAI・データサイエンス講座の開講やモデルベース開発等の先端開発手法の習得などオープンイノベーションを通じた様々な教育を実施しています。
<生産本部>
主に製造現場で働く入社5年目の社員に対して、キャリア形成に関する研修を提供しています。若手社員が成長を実感し、活き活きと働くことを後押しすることで、エンゲージメントの向上につなげています。
また、係長や主任といった製造現場で管理業務を務める社員に対して、リーダーシップと管理スキルを高めるための自己啓発プログラムも提供しています。
<営業本部>
営業スキルと製品知識の向上を目指し、「営業大学」と称した定期セミナーを実施しています。これに加え、マーケティングの知識やビジネス推進に不可欠なスキルとマインドセットを高めることを目的とした、次世代マネジャー向けの選抜研修も提供しています。この研修は、役員がメンターを務め、理論学習と職場での実践を組み合わせた形式で進められています。
人財育成投資額(単体) | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|
15,087円 | 20,302円 | 23,124円 |
グローバルでの人財活用基盤構築の取り組み
当社は、世界各地域特有のビジネス環境や顧客要求に迅速に対応するため、経営に関する権限や裁量を地域統括会社や現地法人に委譲する地域本部制への移行を進めています。このような経営体制には、地域統括会社や現地法人を牽引する人財を継続的に確保・育成することが不可欠なため、各現地法人における幹部候補人財のリストアップや育成状況の確認を行っています。また、グローバルでの人財情報の可視化を進め、人財育成の機会創出や国・現地法人を跨いだ職務・役割のアサインを行っています。