コンプライアンス

基本的な考え⽅

当社グループは、企業ビジョンに定める経営姿勢に基づく、コンプライアンスの基本的な考え方として、「グループ行動規範」を制定しています。この「グループ行動規範」を周知し、教育を実施することで、グループに属する全ての組織及び社員一人ひとりが法令の趣旨や社会の要請、企業倫理に基づいて公正な経営を目指し、良識と責任ある行動をとることを常に心掛けるように働きかけています。当社グループは、法令やルールがなぜ必要とされるのか、その趣旨や意味を理解した上で、正しい行動を主体的、積極的に実践していくことが大切だと考えています。

コンプライアンス推進体制

会社の経営や業務が適正に行われるための内部統制の仕組みを整備し、各部門による活動状況の自主点検(モニタリング)と内部監査部門による各部門及び海外現地法人を含む子会社の業務活動に対する内部監査を実施しています。例えば、日本では公的機関から受領する補助金・助成金の管理・運用については、「公的補助金管理・運用規定」を定め、最高管理責任者を社長執行役員、統括管理責任者を管理担当執行役員とした全社的な管理体制を整備しています。その上で、各本部にコンプライアンス推進体制を設け、その推進責任者である各本部の企画部門長が推進者を指名し、規定に基づいた現場での管理運営を徹底しています。推進責任者は自主点検として各本部の運用状況を定期的に確認した上で、統括管理責任者と内部監査部門に報告します。内部監査部門は全社の運用状況を定期的に確認し、統括管理責任者及び最高管理責任者に 報告し、更に取締役会に報告しています。
また、不正行為などのコンプライアンス違反行為(インシデント)を早期に発見し是正するために、インシデント発生時には、国内各拠点及び海外現地法人の責任者より、担当執行役員、管理担当執行役員、経営企画部門及びコンプライアンス担当部門への報告を義務付けています。コンプライアンスの重要事項については、取締役会へ報告を行っています。

社内通報制度

法令や社内ルールなどに違反した行為(各種のハラスメント行為なども含む)が発生し、業務ラインでの問題解決が困難な場合に備えて、社内通報制度を運用しています。執行部門の経営陣から独立した社内通報体制として倫理ホットラインを設置しており、アルプスアルパインのほか主要な関係会社にも設置しています。
当社では、公益通報者保護法に基づいた倫理ホットライン規定を定め、常勤監査等委員、社外監査等委員、コンプライアンス担当部門長を倫理ホットラインの窓口とし、通報者の匿名性を厳格に確保するとともに、通報したことを理由に不当な扱い及び不利益を被ることが一切ないように通報者を保護しています。こうした守秘義務や不当な扱いの禁止等に反する行為があった場合は、通報者の被害を回復する措置をとるとともに、禁止行為をした者に対し規定に基づいた厳正な処分を行います。
また、事実調査に際しては、特に通報に関する秘密保持及び通報者の匿名性確保に配慮し、通報内容が事実だと認められた場合は、適切な処置をとっています。
なお、通報受付窓口の連絡先は、社内報及び社内ポータルサイト内での掲示や各種社内研修を通じて随時周知を図っています。
2023年度の倫理ホットライン利用は、国内で41件でした。
また、社外ステークホルダーからの通報窓口設置を目的とし、2023年4月に一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に加盟しました。JaCERは、「国連 ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠して非司法的な苦情処理プラットフォームである「対話救済プラットフォーム」を提供し、専門的な立場から会員企業の苦情処理の支援・推進を目指す組織です。幅広いステークホルダーからの意見・アドバイスに耳を傾け、JaCERをはじめとする支援組織との連携を通してコンプライアンス強化を推進します。

倫理基準に関する監査

当社グループでは、内部統制を含む子会社に対して行動規範に関する毎年1回の自主点検と、3年に1回を目安として、内部監査を行っています。監査内容は、「グループ行動規範」の内容を基準としており、腐敗防止や贈収賄等についての遵守状況を確認するとともに、規範の周知・浸透度を測るためのコンプライアンス・CSR研修受講の有無等を確認しています。

腐敗防⽌への取り組み

「グループ行動規範」の中で、お客様、お取引先様、公務員との接待・贈答の授受の範囲及び利益相反の禁止、横領・背任の禁止など腐敗防止や贈収賄の禁止に関して定め、グローバル各拠点に展 開し、教育などを通して浸透を図っています。
また、コンプライアンス違反が事実であると確認された場合は適切に対処するとともに、再発防止策を検討・実施し、取締役会に報告することとしています。また、腐敗行為をした社員は、社内規定に基づき懲戒処分の対象となります。

「グループ行動規範」に関する研修

「グループ行動規範」に関する理解や意識の向上を図るため、国内外拠点及び海外現地法人を含む子会社において、毎年研修を実施しています。本研修などを通じて、腐敗防止や贈収賄の禁止に関する注意喚起のための教育を継続しています。

対象拠点 国内外拠点及び海外現地法人を含む子会社
対象者 社員(日本は派遣社員を含む)
教育項目 以下の内容を含む、「グループ行動規範」の項目
  • コンプライアンス(腐敗防止や贈収賄の禁止など)
  • 人権の尊重(児童労働/強制労働の禁止など)
  • 環境(脱炭素型社会/循環型社会の実現など)
実施頻度 1回/年
教材言語 日・英・中の3カ国語
受講率 2023年度 98%

税務⽅針

創業の精神に基づき、グループ会社の自主性・独立性を尊重しつつ、グループ会社の緊密な連携と総合力を発揮し、「世界的な視点に立った公正な経営を目指す」という姿勢を忘れることなく、社員全員が法令を遵守することはもとより、社内規定を遵守し、社会規範を尊重し、企業倫理に則った行動をとること、すなわち「コンプライアンス(倫理法令遵守)」を励行しています。
税務においても、世界各国・地域における税務法令を遵守することで社会的責任を果たすことを基本方針とし、税の軽減を主目的とした法人の活用や、施策等は行いません。

1. 税務ガバナンス

税務ガバナンスの責任は、取締役であるCFO小平 哲が負い、その実務運営は税務担当部門が税務に関する報告、管理を行う体制としています。なお、国内外の法人税の納税状況を定例報告するほか、税務調査等の税務案件の個別報告を、いずれもCFOより取締役会に対して行っています。また、移転価格課税調査対応等の専門性が高い事案に関しては、外部専門家を活用しています。
なお、当社の税引前当期純利益に対応する税額の実績は下記の通りです。

年度 2018 2019 2020 2021 2022 2023
税引前当期純利益に対応する税額(億円) 120 179 66 132 138 150
税引前当期純利益に対する実効税率(%) 29.2 115.4 132.1 34.4 51.6 △103.8

2. タックスプランニング

グローバルな事業活動がより拡大される状況において、当社は各国における優遇税制については、株主価値最大化の観点から効果的に活用します。ただし、法令等の趣旨を逸脱する租税回避行為は行いません。

3. 税務リスク

税務案件に関しては、税務リスクもしくは税務ベネフィットに関する重要性を考慮して意思決定を行っているものの、当該重要性に関する定量基準は予め定めておらず、個別案件ごとに重要性を判断して保守的な観点から意思決定しています。

4. 税務モニタリング

各国の課税の状況について、CFO及び当社税務担当部門は各国の子会社から定期的に法人税の申告状況報告等を受けることで継続的なモニタリングを行っており、税務調査や税制改正等に伴う新たな税務課題についても、随時各国の子会社から情報を入手することで適宜対応できるようにしています。
また、移転価格税制対応等の各国での高度な税務課題については、税理士法人などの外部専門家によるサポートを受けて対応しています。