サステナブル調達の取り組み
基本的な考え⽅
当社は、グローバルで約1,300社のお取引先様と調達活動を⾏っております。地域ごとのお取引先様と⼀体となり、サプライチェーン上のサステナビリティ向上に向けて取り組んでいます。
お取引先様向け事業⽅針説明会において、CSRアセスメント・環境調査・鉱物調査・BCP調査等への対応を依頼し、お取引先様とともに責任ある調達活動を推進しています。
サプライチェーンの概要
当社の、サプライチェーン状況は以下の通りです。(2025年3月現在)

新規お取引先様の選定基準
新たにお取引を開始する際に締結する「取引基本契約書」に、品質、製品の安全性、納期、コストなどの基本要件に加え、法令遵守、人権および労働、環境保護、安全衛生、BCPなどのサステナビリティ要件も盛り込み、公正に比較・評価し、グローバルな視点での最適なお取引先様を決定しています。
併せて、「アルプスアルパイン責任ある企業行動ガイドライン」に対するCSRセルフアセスメントの実施と、電子部品関連のお取引先様に対しては、グリーン調達基準書に基づき、環境への取り組みを評価する「環境企業評価」と、原材料・部品に当社指定の禁⽌物質が含まれていないことを確認する「部材評価」を実施しています。
<前提条件>
環境・品質リスクの評価 |
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社会的リスクの評価 |
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経済リスクの評価 |
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重要お取引先様の選定
当社ではお取引先様に対し、取引金額の大きさに加えて、品質、コスト、デリバリー、サービスの視点で5段階評価を行い、重要お取引先様を選定しています。2024年度は153社(総取引額の約75%)を重要お取引先様として選定しました。
<選定基準>
Q(品質) | 不具合発生状況と発生時の対応状況 |
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C(コスト) | CCC (Cash Conversion Cycle)含めたコストの適正性 |
D(デリバリー) | 平時の納期遵守、緊急時の納期調整の状況 |
S(サービス) | 先行技術の提案および各種調査(ESG・BCP等)の対応状況 |
CSRアセスメントの実施
「アルプスアルパイン責任ある企業行動ガイドライン」の遵守状況を確認するため、 主要なお取引先様に対し、人権/労務、安全衛生、環境、公正取引/倫理、情報セキュリティ、BCPなどの項目に対するセルフアセスメントをお願いしています。スコア結果はS・A・B・Cランクに区分し、Bランク以下の場合は是正要求シートを用いて改善の確認を行うことを定めています。加えて、新規お取引先様に対しても、採用検討時にセルフアセスメントを依頼しています。
2024年度 CSRアセスメント結果
2024年度は、すべてAランク以上であり、是正要求が必要なお取引先様は確認されませんでした。
2025年度も引き続きアセスメントを実施し、リスクの未然防止に努めます。
対象:主要お取引先様(2024年度購入金額上位75%:153社)
回収状況:138社(90%)
ランク | 評価基準 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
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S | 100%以上 | 44% | 43% | 40% |
A | 85%以上 | 42% | 56% | 60% |
B | 70 - 84% | 6% | 1% | 0% |
C | 70%以下 もしくは重要管理項目に1項目でも【出来ていない】がある |
0% | 0% | 0% |
GHG排出量調査
当社では「アルプスアルパイン責任ある企業行動ガイドライン」を通して、環境に対する考え方をお取引先様と共有しています。
その上で、スコープ3に占める割合が最も高いカテゴリー1(購入した製品及びサービス)を削減するため、2022年度からお取引先様の協力を得てGHG排出量調査を開始しています。2024年度は、主なお取引先様153社に対し、簡易算定シートを用いて調査するとともに、算定の支援を行いました。
グリーン調達の推進
環境に配慮した製品を提供するため、部材調達においては「グリーン調達基準書」を定め、有害物質を含まない原材料・部品を調達するグリーン調達を推進しています。また、電子部品関連のお取引先様に対しては、環境への取り組みを評価する「環境企業評価」と、原材料・部品に当社指定の禁⽌物質が含まれていないことを確認する「部材評価」を実施しており、2024年度は、新たにお取引先様の32社を認定しました。
「グリーン調達基準書」については、適⽤される法令や規制などの変更点を踏まえ毎年改定を⾏っています。また、原材料・部品の製造拠点も毎年⾒直しを⾏い、継続的な改善を⾏っています。
なお、「グリーン調達基準書」は変更の都度、お取引先様ポータルサイトで情報を共有しています。
グリーン調達における選定基準 | お取引先様の選定基準(環境企業評価基準)- 環境保全活動の評価 |
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購入資材の選定基準(部材評価基準)- 購入資材個々の評価 |
調達リスクへの対応
当社グループは、⽇本をはじめ中国・韓国・マレーシア・メキシコ・アイルランド・ドイツ・チェコ・インド・タイ・ハンガリーの⽣産拠点にIPO(International Procurement Office:海外購買部⾨)を設置し、調達活動を⾏っています。調達においては、品質・価格・デリバリー・環境保全の観点から優れた原材料・部品等をタイムリーかつ必要数⼊⼿しなければならず、信頼のおけるお取引先様からの調達が必須であり、信頼関係の構築に注⼒しています。
また、サプライチェーンは⾃然災害・事故・労働争議・倒産等により、調達活動のみならず物流など広範囲にわたり影響を受けます。サプライチェーンデータベースを定期的に整備するとともに、グローバルで情報を⼀元化し、調達リスクが発⽣した場合はタイムリーに対応できるよう体制を構築しています。
お取引先様とのコミュニケーション
当社は「相互信頼による共存・共栄」を掲げ、お取引先様とのパートナーシップの強化に取り組んでいます。世界各国(日本/中国/北米/欧州)で事業⽅針説明会を開催し、購買方針や調達リスク、サステナビリティ課題への対応について協⼒をお願いしています。2024年度も各国で実施し、日本では5⽉に190社/227名のお取引先様にご出席いただきました。以前より実施している鉱物調査やCSR調査のお願いに加え、2023年度から実施された環境調査の考え方を取引先様へ共有させて頂いています。サステナブル調達への対応は、お取引先様の皆様の協⼒なくしては実現しないと考え、今後も連携を強化し取り組みを推進していきます。
なお、当社では、お取引先様を含む、幅広いステークホルダーからの通報窓口設置を目的に、2023年4月に一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に加盟しています。寄せられる意見・アドバイスに耳を傾け、 JaCERをはじめとする支援組織との連携を通して、よりサステナブルな調達を目指します。
業界団体との連携
当社は⼀般社団法⼈電⼦情報技術産業協会(JEITA)の考え⽅に賛同し、「責任ある鉱物調達検討会」へ発⾜当初から参加し活動を⾏っています。また、JEITAの「資材委員会」にも参加しています。
バイヤー研修の実施
企業理念に基づく責任ある調達活動を実践するため、実際に調達活動を⾏うバイヤーに対しCSRの基本的な考え⽅や社会環境、サステナブル調達の基本⽅針等、様々な内容について研修を実施しています。2025年3⽉に実施された研修には、約200名が参加しました。