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航空法で登録・掲示が必須となる無人航空機の固有IDを送信して遠隔確認を実現

「リモートID機器」をドローン向けに量産開始

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2022年05月25日

 アルプスアルパイン株式会社(TOKYO:6770、代表取締役 社長 執行役員 栗山 年弘、本社:東京都、以下「アルプスアルパイン」)は、ドローン(無人航空機)の識別情報である機体固有ID(登録記号)や機体の位置情報などを電波で発信する、国土交通省が定める仕様に準拠した無線送信機「リモートID機器」を開発しました。改正航空法の2022年6月20日施行※1により機体の登録・固有IDの掲示が義務化となるドローン向けとして、他社に先駆けて5月下旬より量産を開始します。既に国内産業用ドローンメーカーのイームズロボティクス株式会社(社長:曽谷 英司、本社:福島県、以下「イームズロボティクス」)への採用が決まっています。また、ドローン業界における知見や各社とのつながりを持つ同社経由で他ドローンメーカーへの販売も行います。ドローン以外の移動体における活用も想定して開発を進め、少子高齢化社会において人やロボットがより便利かつ安全・安心に移動できる未来への貢献を目指します。

「リモートID機器」をドローン向けに量産開始

取り組みの背景

 日本では少子高齢化に伴い、労働の担い手となる15~64歳の生産年齢人口が大きく減少しています。総務省によると※2、2021年10月1日時点の日本の生産年齢人口は前年比58万4千人減の7450万4千人となり、総人口における割合は59.4%と過去最低を更新しました。今後もこの傾向は加速することが想定されています。生産年齢人口の減少が引き起こす社会への影響は様々ありますが、働き手不足による経済の衰退は最も懸念されていることの一つです。近年では政府や企業を中心に高齢者や女性が働きやすい環境を整備することで働き手を増やす工夫がなされていますが、拍車のかかる生産年齢人口の減少を前に、さらなる労働力の増強は不可欠です。

 労働力不足を補う施策の一つとしてドローンの活用が期待されています。特にこの傾向が顕著な地方では、各地にある配送拠点から最終宅配地点までの「ラストワンマイル」をつなぐ物流の短距離輸送手段として大きなニーズがあります。また、作業に危険や非効率の伴う高所や山間部などにおけるインフラ等各種設備の点検に応用することで、人手をかけず安全かつ効率的に作業を行うことができます。一方で、飛行時にドローン同士が衝突する危険や墜落後に回収するための位置特定の難しさなど、その運用には課題があります。

 これら課題解決に向けて、2022年6月20日に改正航空法が施行され、離陸重量が100g以上のドローンは国土交通省が運用する「ドローン登録システム(DIPS-REG)」への登録および登録すると得られる「登録記号」を機体へ掲示することが義務付けられるようになります。また、ドローンは飛行しており、自動車のナンバープレートのように機体に掲示するだけでは地上から確認することができないため、飛行中は登録記号などの情報を電波に乗せて送信する「リモートID」の搭載も必須となります。

取り組み内容

 アルプスアルパインは、ドローンの識別情報である機体固有ID(登録記号)や機体の位置情報などを電波で発信する、国土交通省が定める仕様に準拠した「リモートID機器」を開発しました。ドローンに後付けで搭載することができるため、既にお客様でご利用されている既存のドローンを航空法の基準に適合させることが可能です。

 内蔵されたGNSS(Global Navigation Satellite System:全地球測位システム)により機体の位置を特定してBluetooth®5.0 Low Energy Long Rangeに対応した自社開発のモジュールで登録記号を送信。通信距離は実用で1,500m以上を達成しています。専用のアプリケーションを用いることでIDの取得および遠隔確認を実現します。また、自社開発の気圧センサにより気圧高度に対応しています。筐体サイズはW60×H30×D18mmでリチウムイオンバッテリーを内蔵しながらも重さ約33gと小型軽量を実現。さらに、車載事業で培ってきたノウハウを生かしたIP54相当の防塵・防水規格に適合する高い信頼性を誇ります。また、USBコネクタに外部機器を接続することで機能拡張が可能。さらに将来的にはソフトウェアのアップデートを行うことで、登録記号の送信に依らない通信技術を応用した機能拡張も実現します。

今後について

 まずはドローン活用シーンの拡大を見据え、国内産業用ドローンメーカーのイームズロボティクスと連携して同社経由で産業用ドローン向けの販売を進めます。さらに将来的には、当社が開発を進めている「障害物検知ユニット※3」を搭載した高齢者向け電動カートをはじめシェアサイクルなど、少子高齢化の加速やシェアリングエコノミーの発展に伴って固有IDによる遠隔での位置情報特定が求められることが想定されるさまざまな移動体への応用も検討。少子高齢化社会において人やロボットが共生し、より便利かつ安全・安心に移動できる社会への貢献を目指します。

※1
無人航空機登録ポータルサイト(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/koku/drone/
※2
2022年4月15日に総務省より発表「人口推計(2021年(令和3年)10月1日現在)」
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2021np/index.html
※3
2021年6月16日発表「アルプスアルパインの障害物検知ユニットが福伸電機の次世代電動カート“POLCAR[SPX-1]”に採用」
https://www.alpsalpine.com/j/news_release/2021/0616_01.html


【主な仕様】

製品名 「リモートID機器」
外形サイズ(W×H×D) 60mm×30mm×18mm
本体重量 約33g
コネクタ USB Type C
動作温度 -10~60℃
電源電圧 +5.0V
動作湿度 85%RH以下(結露無きこと)
防塵防水性能 IP54相当
通信方式 Bluetooth®5.0 LE Class1.5