No.185
人の感性に寄り添うテクノロジーで
未来をつくる
Key Numbers
売上高
10,194億円
前期比+290億円
営業利益
420億円
前期比+79億円
経常利益
491億円
前期比+186億円
親会社に帰属する当期純利益
268億円
前期比-109億円

Vision
収益性と経営の質の向上で、
新たな成長と価値創造へ
代表取締役 社長 CEO
泉 英男
2026年3月期は、多くの外部環境変化が生じる中においても着実に収益を確保し、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれもが、公表値および計画を上回る結果となりました。
これは、2024年以降取り組んできた不採算事業の整理をはじめとする経営構造改革を着実に実行したことに加え、環境変化に対して迅速かつ果断に対応策を講じ、収益改善を前倒しで進めたことが下支えとなった結果であります。
中期経営計画2027の初年度である2026年3月期は、計画策定時に掲げた方針に基づき、概ね遅滞なく施策を実行に移すとともに、期中に生じた新たな外部環境の変化にも適切に対応し、想定どおりの進捗を確保することができました。
一方で、計画策定時には想定していなかった2026年度の外部環境変化については、一定のマイナス影響も見込まれますが、これらに対しては前倒しで対応策を講じられる体制を整えてきております。
さらに、2027年度に想定される環境変化も織り込んだうえで施策を推進していくことで、中期経営計画2027の達成に向け、着実に前進しているものと認識しております。
2027年3月期は、新たな事業環境の中において、さらなる収益改善に向けた施策の積み増しに加え、従前より掲げております資本効率の改善とあわせた「両輪での取り組み」を一層推進することで、企業価値の向上につなげる重要な一年になると考えております。
モビリティ事業においては、市場環境が年々大きく変化し、その厳しさは一段と増しておりますが、電子デバイス事業については、需要の拡大を背景に成長機会が広がる局面にもあります。こうした事業環境の変化に対し、柔軟かつ迅速に対応しながら、グループとしての収益最大化を図ってまいります。
また、成長に向けた投資を着実に加速させるとともに、中期経営計画2027の達成に向けた取り組みを一歩一歩確実に積み重ねることで、持続的な成長を実現するための基盤を構築してまいります。
日頃より当社の取り組みを支え、見守っていただいている株主の皆さまをはじめ、すべてのステークホルダーの皆さまに、会社を代表して心より御礼申し上げます。
多くの課題や急激な環境変化に直面する中ではありますが、足元ではPBR1倍の達成も視野に入りつつあります。
中期経営計画2027で掲げたROE10%の達成はもとより、昨年お示ししたVision2035に向けた成長の道筋の中で、事業の質ならびに経営の質を一層高めてまいります。
株主の皆さまにおかれましては、今後とも当社の挑戦にご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
売上高
10,450億円
前期比+255億円
営業利益
485億円
前期比+64億円
経常利益
455億円
前期比-36億円
親会社に帰属する当期純利益
300億円
前期比+31億円
Roadmap
アルプスアルパインは、目指す将来像として掲げたビジョン2035「人の感性に寄り添うテクノロジーで未来をつくる」の実現に向け、中期経営計画2027に基づき、取り組みを進めています。
本中期経営計画では、高付加価値の追求、次の主力事業の仕込み、経営基盤の強化を基本方針とし、2027年3月期でPBR1倍以上、2028年3月期にROE10%の達成を目指しています。

モビリティ事業の収益改善を最重要テーマとし、デジタルキャビン領域を中心に高付加価値製品へのシフトを進めています。
不採算製品の終息・撤退や製品ポートフォリオの見直しを通じ、収益性の改善と利益体質への転換を推進しています。


センサー領域を中心とした投資の強化を通じ、新たな成長ドライバーの具体化を進めています。
また、コア技術を活かした新製品の開発・投入により、事業領域の拡大と将来の収益基盤の構築を推進しています。
国内生産拠点の再編やコスト構造の見直しを継続するとともに、人的資本やソフトウェア開発への投資を強化しています。
あわせて、ROIC経営の本格運用を開始し、事業ポートフォリオの最適化と経営の意思決定の精度向上を推進しています。

Target
経営構造改革による収益構造の改善により、2026年3月期の収益は計画を上回る結果となりました。
こうした収益基盤の改善に加え、中期経営計画2027の基本方針のもと、各事業が担う役割に応じた取り組みを推進することで、収益力の強化と成長性の向上を図り、2028年3月期のROE10%達成を目指してまいります。
アルプスアルパインでは、2023年度のモジュール・システム事業(現モビリティ事業)の減損や業績低迷等を受けて第2次中期経営計画を中止し、2024年度を経営構造改革の実施期間と位置付け、事業ポートフォリオ改革、コスト構造改革、経営体制強化に取り組みました。
その結果、一定の成果が見られるとともに、解決すべき課題も明らかとなりました。2025年度より開始した中期経営計画2027では、これらを踏まえ、引き続き全社的な改革を継続しながら、事業上の課題についても解決に向けた取り組みを進めています。

中期経営計画2027では、収益力の強化と持続的な成長の実現に向けて、3つの事業それぞれが明確な役割を担いながら取り組みを進めています。当社の収益基盤であるコンポーネント事業では新商品創出を加速し、将来の成長ドライバーであるセンサー・コミュニケーション事業では事業領域を拡大を進め、さらに、モビリティ事業では収益構造の改善を目的としたポートフォリオ変革を着実に推進することで、全社としての収益力と成長性の両立を図っています。
以下では、各事業における主な取り組みについてご紹介します。

コンポーネント事業では、収益基盤としての役割を維持しつつ、コア技術を活用した新商品開発の加速に取り組んでいます。地金価格の高騰や民生市場の減速傾向といった事業環境の変化にも対応しながら、国内拠点への戦略投資を進め、競争力の強化を図っています。
これまで、開発から生産、販売までを一気通貫で対応可能な体制を構築し、車載市場向けの開発製品の市場投入も開始しています。今後、さらなる新製品の開発・投入を進めるとともに、中国市場を中心としたビジネス拡大やインド市場への展開を推進します。
また、民生市場におけるアクチュエーターの開発・製造体制の強化にも取り組み、2027年度以降の売上および収益性の向上を目指していきます。
センサー・コミュニケーション事業では、成長ドライバーとしての位置づけのもと、内製コア技術を活用した事業領域の拡大を進めています。ミリ波センサーや磁気センサー、光通信関連製品などの高付加価値製品を中心に、製品ポートフォリオの変革を推進しています。
あわせて、オープンイノベーション活動を通して新たなバリューチェーンを構築し、AIサーバーやロボティクスなど成長市場への進出により、2028年以降の売上と利益の拡大を目指します。
さらに、マルチモーダルセンシング技術の活用については、既に量産が進む予防安全、直観操作の領域に加え、ヒューマンアシストや空間環境改善などの分野へ展開を広げることで、中長期的な収益機会の創出を進めています。
モビリティ事業では、収益構造の改善を最優先課題として、不採算領域の見直しや固定費の最適化を進めてきました。これらの取り組みを継続するとともに、デジタルキャビン関連製品を中心とした高付加価値領域へのシフトを推進しています。
デジタルキャビンの中核となるキャビンドメインコントローラーについては、ハイブリッド車の市場投入に合わせ、2026年度中に量産を開始する予定です。また、関連製品のラインナップの拡充も着実に進捗しています。
今後は、SDV時代の進展を見据え、ソフトウェアおよびインテグレーション技術による付加価値向上のほか、BtoCビジネス領域における中古車を対象とした循環型ビジネスの拡大などを通じて、収益性の高い事業構造への転換を進めていきます。