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2015年9月25日
低電圧機器用
磁気式電流センサをABB社と共同開発
アルプス電気株式会社とアルプス・グリーンデバイス株式会社(以下、当社グループ)は、スイスを本拠地とする電力とオートメーション技術のリーディングカンパニーであるABB社(エー・ビー・ビー)向けに、配電システムへ取り付けてCMS(Circuit Monitoring System)を拡張する、磁気式電流センサを同社と共同開発し、本年9月より量産を開始します。
近年、ますます省エネが重要視されるなか、ビルや事業所、家庭などの消費電力を見える化しエネルギー運用を効率化する、いわゆるxEMS(Energy Management System)の導入・実用化が本格化しつつあります。また、世界各国でエネルギー運用に関する新たな法規制も整備されるなど、エネルギー需給をより細かく把握・コントロールすることが求められるようになってきました。
このエネルギーマネジメントには、電源に接続されるそれぞれの機器の消費電力の把握に加え、施設内の分電された系列ごとの電流を詳細かつ正確に把握することが必要となります。そのため、スマート分電盤(計測通信機能付き分電盤)などでは、MCB(Miniature Circuit Breaker/分岐ブレーカー)に電流センサを取り付け、ネットワークを介してデータ収集及び管理する方法が一般的であり、このような構成は、システムに起因する想定外の動作を早期に警告する用途としても使用されています。
ただし、この構成を導入するためには、既存の分電盤ごとスマート分電盤へ置き替えるか、分電盤内の各分岐へ電流センサを取り付けする必要があり、いずれも煩雑な結線作業など大規模な工事を要します。更に、一度敷設した分電盤をメンテナンスする際には、施設内を一時的に部分停電させる必要もあり、工事側、施設使用者ともに大きな負担を伴うことが課題となっていました。
これらの課題を解決すべく、スイスを本拠地とするABB社の日本法人であるABB株式会社は、2014年5月、メンテナンス性に優れたデータセンター向けスマート分電盤を開発、販売を開始していましたが、このたび、新型CMSおよび当社グループと共同開発した電流センサを搭載したことで、更なるスマート化を実現しました。
本分電盤は、「最もシンプルで、最もスリムなシステム」を商品コンセプトに、配線の単純化に加え、機器の変更や増設が容易かつ迅速に行えるなど、設置、運用コストの削減及び拡張性を兼ね備えたスマート分電盤です。また、一般産業(工場など)や銀行、病院などデータセンター以外での幅広い用途への適用も可能です。
なお、CMSは停電による経済的な損失の抑制や、生活に欠かせない重要電源の確保に向けた対策として、その活用が期待されています。
当社グループは、このような分電盤の開発にあたり、通電状態の既存ケーブルに後付け可能な磁気式電流センサをABB Switzerland
Ltd.と新たに開発しました。本製品は、当社グループ独自の材料・薄膜技術を応用した小型・高精度磁気センサ素子を採用したことで、磁束を収束させるコア部を必要としないコアレス構造となり、測定対象のケーブルへセンサを差し込むことが可能なU-Shape(U字型)の電流センサとなっています。これにより、施設への通電を止めることなく電流センサを導入することが可能となり、既存設備への後付けやメンテナンスが容易に行えるようになります。
更に、コアレス構造に伴い、センサの小型、軽量化も同時に達成するとともに、磁気シミュレーション技術を駆使し、隣接外乱ノイズへの耐性を向上したことで分電盤設計時の負荷低減にも貢献しています。
ABB Switzerland Ltd.のプロダクトマネージャー Franziska Stumpf氏からは「今回、新たに開発したU-Shapeの電流センサは、容易に着脱可能であることが最大の特徴であり、これによりメンテナンス時におけるダウンタイムを最小化できるため、お客様に大きな価値をもたらす製品であると確信しています」との評価を頂くことができました。
今後も当社グループは、これらxEMS関連機器の開発に加え、環境・エネルギー市場に向けて新たなソリューション提案を行うとともに付加価値の高い製品づくりを進めていきます。
<主な特長>
U-Shapeタイプの磁気式非接触型電流センサ
○U字形状により既設機器への電源を切断することなく取り付け(後付け)が可能
○高精度磁気センサ素子採用により小型・軽量化を実現
○隣接外乱ノイズ耐性に優れるため、セット設計が容易
○測定出力はデジタルI/F
【主な仕様:ABB社向けカスタム製品】
製品名 | エネルギーマネジメント市場向け磁気式電流センサ |
外形サイズ(W×H×D) | 17.4mm×14.0mm×41.0mm |
重量 | 4.5グラム |
電流レンジ | 20Arms, 40Arms, 80Arms |
検知電流 | TRMS※1 AC 45Hz~65Hz DC 0 ~ 0.25Hz |
出力形式 | RS485_2wire, Modbus※2通信方式準拠 |
動作温度 | -25℃ ~ +70℃ |
※2 Modbus:Modicon社が策定したシリアル通信プロトコル。同じネットワーク上に多数の機器を接続しての通信が可能で、産業界において最も一般的な手段
【新型CMS適用事例】

【ABBについて】
ABBは、世界の約100カ国に14万人の従業員を擁する電力技術とオートメーション技術のリーディングカンパニーです。環境負荷を最低限に抑えながら、お客さまの業務効率を最適化する製品、ソリューションの数々を、電力、一般産業、交通/社会基盤の各分野に提供しています。
ホームページ:www.abb.com
【ABB株式会社について】
ABB株式会社は、ABBの日本法人であり、日本国内において電力およびオートメーションに関する事業を、製造、販売、サービスの各分野で展開しています。ABBは日本国内における事業を、ABBジャパンとしてABB株式会社と2つの合弁会社で運営しており、合わせて約700名の従業員、15都市にわたる販売/サービスネットワークを展開しています。
ホームページ:www.abb.co.jp